統合失調症における病識の無さは「認知機能の低下」よりも、「人は体験したことを事実とする生物である」ということを原因とするべきだ。

「統合失調症の病識の構造」という論文(下記参照)を読んでの私見です。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsnr/34/4/34_20110419002/_pdf/-char/en

統合失調症の患者は病識が無いことで有名ですが、その病識がなぜ無いのか?について、上記の論文に限らず、多くの論文では「認知機能が低下しているから」としていることが多いです。

しかし、家猫の考えでは、それは真の原因では無いですね。テストの点数で言うと40点ぐらいになります。では、残りの60点は何になるでしょうか。

それは「人は、体験したことを事実とする生物であるから」ということです。

簡単に言うと「火は熱い」ですよね。それを、他人から「火は寒いよ」と言われても納得できません。統合失調症の病識もそれと一緒です。それは幻聴だよと言われても納得できないのです。

例えば、太陽と地球の動きを考えてください。人から見ると「大地は止まっていて、太陽が地球の回りを動いている」ように感じますよね。「大地(地球)が動いていて、太陽の周りを回っている」訳ではないのです。天動説と地動説が何年?何十年?に渡って争ったか知りませんが、人間は、自分が体験・経験したことを真とする生物なのです。地動説が勝ったのは、証明実験という多数が知覚(体験)できる方法を用いたからなのです。

自分が体験(経験)できないことを理解できるのは、一部の方に限られます。数学者、天文学者、量子理論研究者など非常に賢い方たちだけです。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」です。

もう一つ大事なことですが、統合失調症の幻聴は「本人があり得ないと考えているシチュエーションでは聞こえない」ものなのです。「誰もいないところから声が聞こえる」はかなり病気が進んだ方です。初期は「人とすれ違った際にだけ」聞こえるものですし、「壁の向こう側に人が入れるスペースがある」と本人が認識している場合にのみ「壁の向こう側から悪口が聞こえる」のです。「テレビで悪口を言われている」のは、「本人がそれを事実として認識できるほど認知機能が低下しているから」そのように認識できるのであり、病気の初期にいきなり出てくるものでは無いのです。

では、なぜ投薬を開始して、統合失調症が良くなると病識が出てくるのでしょうか? それは「投薬により悪口が減った、無くなった」という体験を得られるからです。認知機能が復活したから、では40点です。悪口が減ったという体験を得られるから、過去を振り返って「ああ、あれは幻聴だったんだな、自分は統合失調症なんだな」という病識が現れるのです。

ここまでの病識で話は解決しますが、さらに家猫の場合、うつ病だと誤信し完治したと思い断薬し、半年後に見事統合失調症を再発させています。まさに教科書と思われる期間で綺麗に幻聴が復活した「体験」を通して、「ああ、薬が間違いなく効いている。自分は統合失調症なんだな。」という確固たる病識を持っているのです。認知機能の復活は、あくまで補助なんですね。

↓クリックしていただけると励みになります↓
にほんブログ村 株ブログ 株日記へ にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 統合失調症へ にほんブログ村 為替ブログ 為替日記へ

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする