天気の子がとても面白かったです。
序破急がしっかりしていたので物語に入りやすかったです。惜しむとすれば、暗転をちょくちょく使用することから、暗転時に自分の顔がディスプレイに映ってしまい、現実に戻されるという点でしょうか(笑)そういう意味で、これは映画館で見るべきものだったかもしれません。映画館であれば、そのような心配は無用でしょうから。
原則通り、ボーイミーツガールものなのですが、その序盤は「主人公が不思議な女の子に出会う」という形式ではなく、主人公が困っていたときに、ちょっとした恩(ハンバーガーを無料で貰った)をくれた女の子を救うという形からのボーイミーツガールなので、実際にありえそうな形になっているのが良いです。とても自然な導入です。
本編から外れますが、なぜハンバーガーを食べずにシェイクを飲んでいたのでしょうか。ここは深く考えると何かしらの暗喩か主人公の設定の伏線だと思うのですが、映画本編ではそこまで触れられなかったですね。まぁ、なにかしらのファンブックによる補填がされているのでしょう。
中盤は天気の子の活躍です。お手頃価格でお天気を呼ぶ、天候を晴れに変更するという、晴れ女の仕事です。もう身がよぎれるような平和な生業で生活していく様を描写します。良いですね、この仕事…。実際に存在するのであれば、僕もやりたいと真に思いました。
しかし、その幸せな生活は長くは続きません。有名になりすぎてしまったことから、予め決まっていた仕事を終えたら、休業をすることに決定します。流石新海監督、ここら辺の塩梅が上手です。
そうして、最後の仕事を終えたら?そこから物語は大きく動くことになります。ここから一気に加速し、エンディングまで駆け上ります。とにかく走ります。
そういえば公開後、すぐに「天気の子は便器の子」などというアンチスレが立っていたことを覚えています。何か引っかかるものでも描写にあるのではないかと思ったのですが、導入部分のことを捉えていたのですね。ここは、新海監督は敢えての毒を含ませたのではないかと思います。ネタバレになるので抽象的に書きますが、ヒロイン「ひな」の秘密をうまいことカモフラージュしながらも伏線として用意しているのですね。その秘密ゆえ、世界が狭く、ああいう行動に出てしまった、ということです。
とにかく全体として非常に優しいストーリーでした。「君の名は。」ほどのスペクタクルはありませんが、その代わりに細部に優しさが溢れています。優しいストーリーです。未視聴の方は、ぜひとも見ていただければと思います。
恐らくこの映画、親世代と子世代で感情が変わるかもしれません。というのも、親世代からすると、やってしまったことについての罰がしっかりとなされておらず、そこが気になるという方もいるからです。逆に子世代はそんなところは気にかからず視聴できるので、素直に楽しめるかと思います。つまり、どこまでいってもこの映画はジュブナイル向けなのでしょう。